俺の考え

本田宗一郎 俺の考え (新潮文庫) 163ページより

　人間の労働能力を「馬力」で計算したら何馬力になるかご存じだろうか。
中略
　人間が一日コツコツ働く能力といえば、驚くなかれ二十分の一馬力に過ぎないのである。二十分の一馬力というのをわかりやすく説明すると、四十ワットの電気扇風機のモーター出力と同程度である。
　しかもこの機械は一日最低九時間の休養を必要とし、場合によっては酒が呑みたい、綺麗な着物が着たい、ぜいたくなヤツは女が欲しいとまでいいだすのであってみれば、機械ならまさにポンコツである。
中略
　人間が人間としての特権である「考える能力」を捨てて、動物や機械と同じことをやっていたら、ただこれだけの能力しかないということをいいたかったまでである。

　ぬるま湯の中にいるような毎日に暮らしていると「考える能力」も衰えてしまいそうなので忘れないようにメモ！

俺の考え (新潮文庫)